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無意識に、その黒の羽根へ手を伸ばしていた。それを手にすると、少しだけぬくもりを感じた気がした。他の羽根も下に落ちる前にちぎれない様、そっと手にした。
他の羽根もやはりぬくもりを感じ、心地の良いものだった。
たった今手にしたものだったが、何だか自分の物の様な気がするのは何故だろう?なんて思いながら、ローブの人物へ視線を移した。
「・・・ま、魔王様、貴女様の守護者は五名選出されました。」
声を聞く限り、このローブの人物は男性の様だった。そして、彼は、何故か焦った様な声音だった。何故だろう、と首を傾げていると、彼は少しはっとした様にこちらを見遣り、「大変失礼致しました。」と静かに告げた。
「魔王様、この度は守護者選出、お疲れ様でございます。今回、選出させていた抱きましたのは、守護者。魔王様の為の守護部隊でございます。ジュリア様の守護者は、『白』、『緑』、『赤』、『青』・・・最後に、『黒』の五つの種族の代表者が選ばれます。・・・後日、ご挨拶に伺うかと思いますので、よろしくお願い致します。」
「ジュリの為の、部隊・・・、どんなことするの?」
「勿論、あらゆること全て彼らが行うかと。」
「・・・お城に来てくれるの?」
「はい、魔王様の許可があれば、城に住み、寝食を共にさせていただくことになるかと思います。」
一緒に住んで、ご飯も一人で食べなくていいと思うと、頬が緩みそうになるのを止める。いつもお世話をしてくれる彼女から、人前で笑ってはいけない、と言われているのを忠実に守った。
「その他にご質問等がございませんでしたら、本日はこのままお送りしようと思いますが、いかがでしょうか?」
大丈夫、という様に頷いて見せると、「では、お送りいたします。」と手を差し出してきた彼の手を取ると、移動魔法を使って、一瞬で先ほどの自室に戻った。
それから数日、ワクワクとしたものを感じつつ、いつも通りに飛んでくるイグナーと戯れて過ごしていると、後ろから柔らかな声が聞こえ、声の方へ振り向くと、何名かの影が見えた。黒のローブの人物が言っていた守護者の人たちかな?と見上げると、優しい声の人は、優しい笑みを浮かべていて・・・。
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