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種族にはそれぞれ、色が与えられている。ちなみに狛は『白』、翠は『緑』、紅は『赤』、蒼は『青』、黒玄は『黒』。
通常であれば、『四色の羽根』が下り、選出される。今回、ジュリアの場合は『五色の羽根』が舞い降りたのである。それは、魔王に、魔界に、試練があるという証拠。どうして、試練であるかというと、『黒』の種族が守護者として選出された魔王はすべて災難が降りかかり、魔界に混乱をもたらしている、そういった記録が残っているのである。
―――
「ジュリア、もう朝ご飯出来ていますから、早く着替えて降りてきて下さいね?みんな下で待っていますから」
彼女の様子を見ては、フフッと軽い笑みを零し、彼は部屋を出て行った。彼女はそれを聞くと慌てて着替えを済ませ、ドタドタと慌ただしく下に降りて行った。
ドタドタと二階から降りてくるジュリアの足音を聞くと、朝食をテーブルへ並べていたグリーンの髪を持つ女性、翠は一旦手を止めて、クスクスと笑いを零した。
「おっはよう!」
ジュリアは、リビングのドアをバンッと勢いよく開けると、元気の良い声と笑みを浮かべつつ言った。それに対して、翠は、優しげな笑みを絶やす事無く、挨拶の言葉を返した。
「おはようございます、ジュリア。」
「「おはよーっ、ジュリア。」」
「朝からうるせェな・・・。」
一つ目の丁寧な口調で返した挨拶は翠、次の挨拶は元気なジュリアの挨拶に負けず劣らず声である蒼と紅。最後の挨拶はいかにも怠そうなのが黒玄であった。最後の挨拶を聞いたジュリアは少し頬を膨らませ、いかにも拗ねた、と言うような表情を浮かべた。
「うるさいって失礼、黒玄。元気いいって褒めるとこだと思うけど?」
そうブツブツと文句を言いながら、ジュリアは自分の席に座った。
すると、狛はタイミングよく彼女が座るのを見計らって朝食をジュリアの前に並べた。
そして、「それでは、いただきましょう。」と、全員に向かってニコリと綺麗な笑みを浮かべながら、そう声を掛けた。
それに応える様に「いただきます。」と、元気よく声を揃えて言った。
一部、周りとは違い、怠そうな声も聞こえたが、これが魔王城でのいつもの賑やかな朝なのである。
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