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愛という言葉は、オリアーナにとってまだしっくりとこない。けれどイザークに対し、そういう気持ちがあるのだとすでにはっきりと自覚していた。
そして、彼も同じように想ってくれているのだと感じると、泣きたくなるほど嬉しかった。
「……私、もう一度お話ししようと思います。私の本当の望みは、陛下と一緒にここにいることで、でもフォルテラと争いはしたくないんです。それを陛下に伝えて、なにができるのか考えます」
オリアーナが決意を話すと、カーヤは納得したように大きく頷いた。
「第三者が言うのもどうかと思って黙ってましたけど……。陛下は、最近フォルテラと交渉――というか、弱みを握ってどうにかできないかを考えていたみたいですよ。忙しいのはそのせいです」
つまりオリアーナが思いつく程度のことならば、イザークも当然考えているということだった。
最初から言ってくれたらいいのに、という思いが一瞬頭をよぎるが、すぐにそれは違うと否定する。
オリアーナに不確かなことを伝えて、ぬか喜びさせないためだろうか。彼は王として、最悪の事態を常に想像し、それでもなお、進むことをためらわない強者だ。
もしかしたら、オリアーナにも同じことを求めているのかもしれない。
「今度こそ、陛下のお気持ちを怖がらずに聞かねばなりませんね? それから、私の気持ちも……」
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