招かれざる使者(3)

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 フォルテラや、残してきた人々のことを心配して泣いているのか、イザークに見放されてしまったかもしれないと不安になっているのか、彼女自身もわからなくなっていた。  しばらく勝手に溢れてくる涙をそのままにしていると、ふと天蓋の向こうが揺らめいているのに気がつく。  侍女が明かりを落としに来たのではない。もっと背の高い誰かだ。 「陛下?」  オリアーナの呼びかけに答えるように、揺らめく影が寝台のほうへ近づき、ビロードの布地をそっとどけた。 「まだ寝ていなかったのか?」  イザークの瞳からはなんの感情もうかがえない。はじめて会った日ですら、こんなふうにオリアーナを見つめたことなどなかった。  話をしたいはずだったのに、彼を前にするとなにも言えなくなってしまう。  オリアーナは、彼の黒い瞳の中に写っているのが泣きはらした顔だと気がついて、思わず目を伏せた。 「昨晩のようなことはもうしない。そんなに怯えなくていい」 「怯えてなどいません」  昨晩のイザークは確かに言葉も態度も乱暴だった。それでもオリアーナは彼の存在を恐れてはいない。  今、怯えているように見えるとしたら、それはイザークにみっともない姿を見られているせいだ。 「あの者はすでに送り返した。バルツァーが手配した監視と一緒だから二度とヴァレンツには入れさせない。残念だったな?」 「残念……?」     
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