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「美術部だったのかも。顧問の先生と一緒だったし」  美術部か、それに近かった同級生をあたってみようということでこの日は解散となった。  酔い覚ましも兼ねて歩いて帰る、というカズナリを見送り、ハルミとナナは駅へ向かって歩き出した。大通り沿いに進めば駅に着くが、「私たちもちょっと歩こうか」というナナの提案で二人は遠回りする道に入った。 「たぶん、ハルミは……」歩きながら、ナナがさりげなく話し始めた。「封印しすぎてたんだよ」 「どういう意味?」 「ジュンくんのこと。イヤな思い出を忘れたくてフタしてたんでしょ?」ナナは少しだけハルミのほうへ顔を向けた。「ついでにその周りにあった中学校時代の色んな記憶も捨てちゃったんだよ。封印するみたいに」  封印、というナナの言葉をハルミは口にしてみた。やはり幼馴染みだけあって、見抜かれていたか、と思う。  初恋や失恋の話題になると、どうしても首をもたげるジュンの記憶がハルミにはあった。中学卒業後も風化せず、思い出すたびに苦いコーヒーを初めて飲んだときのような気だるさに見舞われた。     
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