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瀬田を無理矢理引っ張る様にして、エレベーターやデザイン部が在るのとは反対側の、内階段へと向かっている男がギフトとかいうカリスマフォトグラファーなのだろう。
それなりに離れていた秋川の目にも、瀬田が嫌がっているのは明らかで、同じデザイン部の人間だとは思えなかった。
内階段へと続く重い扉の向こうに、二人の姿が消えていった。
しばらく間を置いてから、秋川はゆっくりと少しずつ扉を開けてみた。
その扉に、二人のどちらかでもが寄り掛かっていたのならば即ゲームオーバー!だったのだが、幸か不幸か二人は揃って、その下の踊り場に居た。
瀬田を壁際に追い詰めているギフトは、背中を向けているのでもちろんのこと、瀬田はほんの少しでも視線を上に、五階の扉の方へと寄越す余裕など全くない様に秋川には見えた。
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