2 ギフト

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 瀬田は、過去のバカな自分を嘲笑おうとしていたのかも知れない。でも、全然うまくいっていなかった。  苦にがしく歪みつつも、やはりキレイなままの顔で言う。 「そんなセンチメンタルな人じゃないですよ。交換条件を出されました。自分と付き合っていたことを周囲に黙っていてほしかったら、口止め料として新しく写真を撮らせろって。前のと差し替えたいからって。そういう人なんですよ。自分の写真、作品が一番大事で、他のことはどうでもいいんです。非道いヤツでしょう?最低ですよね?でもおれ、そんな非道いヤツと付き合って喜んでたんですよ。おれも同じ、最低です」 「晴季っ!」  思わず秋川は身を乗り出して、瀬田の両肩を掴んでいた。 「自分を責めるな!おまえは最低なんかじゃない!別れたのに今更そんなこと言って、迫ってくるヤツの方がどうかしてるんだ。そいつが最低なだけで、おまえがじゃない。一緒にするな!だから、そんなこと言うな」 「慎一さん・・・」  瀬田はほとんど泣きそうになっていた。 こんな自分の為に、後先を考えなかった過去の自分の為に、これ程まで親身になってくれる秋川のことを、好きになって本当によかった。と瀬田は思った。心の底からそう思った。  親身になって、で瀬田は昼間の秋川の姿を思い出した。 肩を掴む秋川の手の上に、自分のをそっと重ねる。   
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