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石サバにとっては全くの世間話であったとしても、秋川には今一番聞きたいドッグラン、デザイン部の内幕だった。
「少し前に、大きな仕事が動き出しそうだ。とは言っていましたが・・・」
秋川は先を急かせたくなる気持ちを抑えて、努めて平らかに石サバへと答えた。
「同期がデ部、じゃなかったデザ部にいるんだけど、大騒ぎしちゃってもう大変よ~だってアノ、ギフトだもの」
「ギフト、ですか?」
贈り物とかいう意味だよな?確か。
与えるのギブと語源は同じだった気がする。と秋川は思ったが、今此処で、石サバが英単語の話をするわけがない。黙って、二の句を待つことにする。
焦らす気など全くない石サバは、直ぐに続けた。
「秋川君って、ファッション誌とか読まない人?若手カリスマフォトグラファーとして有名よ?イケメンだし」
結局はソレか。猫も杓子もイケメンだよなぁ。と秋川は最後に、物のついでの様に付け足された石サバの言葉を聞き逃さなかった。
更に、石サバは重大なことを秋川に告げてくる。
「自他称ともに、『被写体と寝る男』。ま、そういういかにもな雰囲気を出すのが巧いっていう意味らしいんだけど、全くの雰囲気じゃないって専らの噂でね。何せバイだって、公言しているくらいだし」
「バイ・・・」
「あ、バイっていうのはね」
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