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透かさず説明しようとする石サバを、秋川も又透かさず、
「判りますから、わざわざ説明してくれなくても大丈夫です」
と止めさせた。
何時の日か、社内のセクハラ相談室に訴えてやる。と半ば本気で秋川は思う。
秋川の密かな決意など知る由もない石サバは、声を潜めて言った。
「でね、ここからは私の同期の意見なんだけれども、どうやらそのギフトが、瀬田君にご執心らしいのよ」
「えっ!は、瀬田にですか?」
驚きの余りに、秋川は思わず瀬田を名前で呼んでしまうのを、寸でのところで避けた。
いくら実は付き合っているとはいえ、対外的には大学時代の後輩であり、ルームメイトなだけなのだから、別に名前で呼ぶことくらい不自然ではないのは秋川にも分かっていたが、どうにも照れがあった。
そして、その照れを人に知られるということは、秋川にとっては瀬田と付き合っていることを知られるのと等しかった。
「そうらしいのよ。何でもウチの会社に来ると瀬田君にベッタリで、片時も離さないんだって。口説き落とそうとしているらしくて」
「く、口説くぅ!?」
「あ、モデルとしてよ。まぁ、その気持ちは分からなくもないわ。
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