0 彼氏と彼氏との新事情

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 「本当に、瀬田君からは何も聞いてないの?」 「はい。今のところは、特に何も」  秋川の実にあっさりとした答えに、石サバは不満であることを隠そうともしない。 「緘口令でも敷かれているのかしらね。本決まりになるまで伏せておくつもりかしら?当の本人だったら、秋川君には何か話しているのかと思ったんだけれども。読みが外れたか」 と、盛大な舌打ちまでをもした。 「・・・・・・」  上下に分け隔てなく、つまり誰にでも厳しく且つさばけていることから、名前をもじって石サバと呼ばれている上司の、意外にギャンブラーな一面を見た気が秋川はした。  しかし、 「お役に立てなくて、すみません」 と口先だけでは殊勝にも謝っておく。 その実、秋川は心の中では全く別のことを考えていた。  ありがとうございます。石本さん。おかげで、いくら待っていても晴季に話してもらえなかったことを、やっと聞くことが出来ました。  秋川はもう、これ以上は待つ気などさらさらなかった。 どうやら、自分で思っていたよりも無理なガマンをしていたことに、今更ながらに気が付いた。
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