6 解毒剤

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 コイツ、今に周囲の人間から間違いなくガッカリイケメンと称されるようになるな。と秋川は断定した。  その口を閉ざして澄ましていれば、ただただカッコいいイケメンなのに。と残念に思う。 しかしその一方で、そんなのは瀬田晴季ではない。とも秋川は考える。  瀬田は途端に、表情を変えた。 笑顔は笑顔でも、何処か意地が悪い。 「慎一さんは朝ご飯、食べないんですか?フレンチトーストなんですけど」 「・・・まさか、あの後に仕込んだのか?」  以前、瀬田からフレンチトーストのコツは卵液に一晩漬けることだと、聞き及んでいた秋川はあ然とした。 瀬田が皿を片手に答える。 「昼間にです。・・・・何もしないでただ待ってるだけだなんて、とてもじゃないですけど出来ませんよ」 「悪い」 と言った後で思い直した秋川は、 「ありがとう」 と言って、カリカリベーコンも添えられた、茶色い焦げ目すら美味しそうな黄金色に輝くフレンチトーストの皿を受け取るべく手を差し出した。  しかし、何故か皿は秋川から遠ざかって行く。 「?」 代わりに瀬田の顔が、唇が近付いてきた。 いくら鈍い秋川でも今、瀬田に何を求められているかくらいは分かる。  秋川は瀬田へと口付けた。 極軽くしただけだったが、甘いあまいメープルシロップの味がしたのは、秋川の気の所為だったのだろうか? 「兵糧攻めとか、ホントにズルいよ。おまえ」     
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