絶対的に自己中心的な現実感

１ 元カレVS今カレ 第一ラウンド

　秋川は大抵、昼食は社員食堂で摂る。
会社の近くには飲食店もコンビニもあるのだが、わざわざ出掛けるのが面倒で、最も手近な所で済ませてしまっていた。
　しかし、ワンコインの日替わり定食をチェックするのは、秋川の密かな楽しみだったりもする。
自分の好物だとその日の午後は少しだけだが、仕事の進みが早いような気さえした。
　その日のインタラボ社の社員食堂『インタラボキッチン』の日替わり定食は、秋川の好物の一つであるアジフライ定食だった。
イカフライとポテトフライも添えられていた。
　さすがに、エビフライまでは予算の都合上望めなかったが、衣ばかりのエビフライだったらイカフライの方が断然、秋川にとっては尊かった。
これは、天ぷらにもそっくりそのまま当てはまる。
　瀬田と暮らし始めてからようやく、もしかすると自分はビンボー舌なのではないか？と、疑い始めた秋川だった。
久びさのアジフライ定食を心ゆくまで堪能した秋川は、そのままの浮き足立った気持ちでデザイン部の近くまで行ってみることにした。
　今日は確か、瀬田は十時出社のはずだった。
フロアーが経理部が二階、デザイン部が五階と異なっている上に、業務内容でもほとんど接点がないので、秋川にとっては初めての冒険？となる。