第一章 火の国の火祭り 

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火の国 まさに 南国の雄大な自然に包まれている土地 日が昇る ところには 常に火を噴いている 火の山がそびえています。 かつて この地に 存在した 邪馬台国の後継とも思える この地域一番の勢力を持つ 軍事国家 火の国 女王卑弥呼亡き後  三代目の女王 徐妃(じょひ) いまでは 呪術での支配と言うよりは  軍事力と交易力で 一帯の国や村 部族を治めていて その治世の一環として  火祭りが年に一度開催されています。 熱い太陽が やっと 西に傾いた頃。 険しい山道を 二人上って来ました。 その後方からは 大きな荷物(貢ぎ物)を背負って お供の者たち数名が続いています。 「父上。なぜ我らは 毎年 このように貢ぎ物をもはや力なき女王に渡すのですか?」 利発そうな若者 いや まだあどけなさも残る少年が 髪を後ろに束ねてキリッとした顔つきで その前を歩く 岩盤のような大きな体の父ダイリウに訊ねれば 「シリウよ 我ら 牙狼族(がろうぞく)は 元々 火の国とは友好関係あり 彼らも 我らの力を必要としておる それに我らも 火の国の庇護は必要じゃしな まあ 持ちつ持たれつよ」と言っては 豪快に笑い飛ばしました。 「火の国実紀」の主人公 シリウ なんとも訝しげな顔をするも「まあ いくら女王の力がなくても 大将軍ブルスに目をつけられては 敵わないってことみたいだしね。」 「確かに 大将軍ブルス あのお方は 恐ろしい存在だ。」
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