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明日は卒業式――。
「なんでもいいので、手の平サイズのものを持ってきてください。明日、卒業文集と一緒に埋めますから」
担任が言った。手のひらサイズ、か――。
次の日、卒業式が終わると、担任がみんなを集めた。
「みなさん、手の平サイズのものは持ってきましたか?」
私は割れたビー玉を持ってきた。こんなの、もういらないから――。
帰るときになって、友達の結衣が話しかけてきた。
「ねえねえ、遥菜は何入れた?大切なもの。ハタチになったらまた掘るんだよ。楽しみだねー」
え……。あの箱って、ゴミ箱じゃなかったの……?卒業文集って書かれた紙クズとか、くだらないフィギアとかが入ってたから、てっきりゴミ箱だと……。あのビー玉だって、もう捨てたつもりだったのに……。
「ビー玉だよ。ハタチになってこれを見たら、どう思うかな」
本当に、どう思うだろう。捨てようと思ったビー玉をタイムカプセルに入れただなんて、大人になってもその気持を理解できるだろうか。
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