3.同居生活の始まり

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洗足池駅に着いたのが8時半、でも昨日より30分早い。女の子のことが気になっていた。居なくなっていると楽しみがない。いいおもちゃが格安で手に入ったのに失いたくない。居てほしいと思った。 いつものように1階のコンビニで弁当を買う。オーナーに大きめのトレーナーを着た女の子が弁当を買いに来たか聞いた。6時ごろに弁当と飲みものを買って行ったとのことだったので安心した。それでおいしそうなケーキも2個買った。 ドアを開けると女の子が玄関まで出てきた。昨日着ていたブラウスとスカートに着替えていた。洗濯したようだった。俺のトレーナーはやはり気に入らなかったようだ。それもそうだ。男もので大きすぎてダブダブだった。 「おかえり」 「ただいま。まだ、居たのか? 家へ帰らなかったのか?」 女の子は頷いた。 「夕食は食べたのか?」 女の子は頷く。そして釣銭を差し出した。 「お釣りか? 取っといていいんだ。君に上げたのだから」 女の子は不思議そうに俺の顔を見た。 「残りは自由に使えばいい。財布をあげよう。小さくて使い辛いのがあったから、それに入れておくといい」 整理ダンスの引き出しを探して、小さな革の黒い財布を渡した。女の子はお釣りを入れてそれを握りしめた。 部屋が片付いている。掃除もしてあるみたいだった。 「掃除をしてくれたの?」 女の子が頷く。 「ありがとう。下でデザートを買ってきたから、俺が弁当を食べてから、一緒に食べよう」 俺は冷蔵庫から缶ビールを出して飲みながら、チンした弁当を食べる。食べ終わるとお湯を沸かしてインスタントコーヒーを2杯作る。女の子は椅子に座ってそれを見ている。 「ケーキを食べよう。ケーキは好きか?」 女の子は黙ってケーキを食べて始めている。「おいしいか?」と聞くと頷く。その時、はじめて少し笑ったように見えた。 「名前を聞いていなかったな?」 「美崎(みさき)未希(みき)です」 「未希か、良い名前だ」 「俺は山内(やまうち) (じゅん)、歳は31になったばかりだ」 「未希は18だったね」 未希は黙って頷く。
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