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時間ギリギリまで練習し、あっという間に集合時間となり体育館へ向かう
「叶多」
「ん?」
「…大丈夫か?」
「あー、うん。加賀さんの事思うと居てもたっても居られなくて」
「ピアノ弾けたんだ?」
「小さい頃母さんが教えてくれて、たまに家で弾くくらい」
趣味程度であそこまで弾けるものなのか?
しかも歌声に合わせる伴奏ってかなり難しいんじゃ…
「ヒソヒソ目の前で話されるのって気持ちのいい物じゃないからさ。何とか出来たらって思って」
「…あの時の叶多、カッコよかった。滅茶苦茶カッコよかったよ」
「まじか!惚れちゃった?」
「惚れちゃった」
「あははっアキラ可愛い」
緊張してないわけじゃないだろうに、叶多はリラックスしているのかとても良い笑顔だ
「困ってる人がいたら助けるよ。アキラもそうだろ」
「…」
俺は叶多みたいに、すぐ美月に掛けよれなかった
「少なくとも、俺が困ってたり大変な時。いつも助けてくれて、支えてくれてたのはアキラだよ」
眩しい
叶多の笑顔がすごく、眩しいよーー
「頑張ろうな。加賀さんの為にも」
「ああ」
俺と叶多は、拳をコツンと合わせあった
俺は俺の出来る事を精いっぱいやろう
…音痴だけどさ
体育館に入り各クラス席に着席し、間もなく校長の挨拶もそこそこに一年からクラス順に合唱の発表会が始まる
はー…緊張する
きっと叶多はもっと緊張してるだろうな
隣の叶多をチラッと視界にいれるも、いつもと変わらず真っ直ぐ前を見つめその感情までは読めなかった
一学年が全て終了し、いよいよ二学年に入る
順番が近づいて来る度にソワソワして落ち着かなくなってきた…
キョロキョロ周りを見渡していると、
「ーーえ、」
後ろを見た時、客席から離れた一番後ろの壁に寄りかかる一人の男性に目が行く
あのスタイルの良いモデル並みのシルエットってまさか…
その男性はステージの証明しか明かりのない館内でも一際目を引いた
「叶多…叶多」
「どした?」
「ちょっとあれ、見て」
「何、どれ…ーーっえ、…?」
俺の指差す方な顔を向け、その男性を見つけた瞬間叶多の動きが止まる
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