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「なんで、鷹夜ーー?」
目を真ん丸くして驚いている叶多が何だか年相応に見えた
「ーー行ってくれば?まだ出番まで時間あるし」
「…ありがとアキラ」
少し考えてから、叶多は邪魔にならないように席を立ち愛しい恋人の元へと足早に走って行った
鷹夜さん、めっちゃ良いタイミングで来てくれたな…
叶多の不安でも感じ取ったのかな
流石スパダリ…
少し経って叶多がソロソロと戻って来た
…顔が真っ赤ですが一体何をしてきた?
何となく空気を読んで聞くのはやめといた
「おかえり。鷹夜さんに学祭の事言ったんだ?」
「ただいま。…言ってない。何で知ってんのって聞いても叶多の事なら何でも知ってるよとかはぐらかされた」
「鷹夜さんらしい…でもま、良かったじゃん?緊張も解けたみたいだし」
「ん…」
叶多は顔を真っ赤にして小さく頷いた
愛の力はやっぱり物凄いですね
何はともあれ、叶多が最高の形でリラックス出来たようで本当に良かった
「いよいよ次だな…」
「そうだな」
この自由曲が終われば、次は俺たちの番
きっとクラスの誰もがドキドキしている事だろう
『続きまして、二年D組による発表です。準備をお願いします。尚、怪我によりピアノ伴奏者が加賀美月さんから蓮見叶多君に変更しています』
放送と共に動き出し、前に発表していたクラスが捌けるのを待ってから入れ替わるようにして俺たちがパートごとの位置に着く
叶多はゆっくりピアノの椅子に腰を降ろしていた
一瞬、叶多が体育館の一番後ろ…ーー鷹夜さんの方を見たように感じた
大丈夫だ叶多
皆が、俺が…鷹夜さんがついてる
ふーっと一息吐いたところで、指揮者である和歌が最前に来て台の横で止まる
和歌は叶多と視線を合わせ合図をすると、ピアノの号令に合わせて礼をした
…いよいよだ
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