運動会

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朝のHRの時間。 雑に今日の授業担当の先生からの連絡等を説明した澤木先生が、教室から退室直前に「あ、」と言ったことでクラス全員の視線が澤木先生に集中します。 「今日のLHRで体育祭の出場種目決めるから考えとけよ」 それだけ言って去っていく先生と、 「やったー!体育祭だー!」 「出場種目何があるのかなー?」 「会長様の御身をこの目に焼き付けないと・・・!」 「やだなぁ・・・」 体育祭への意気込みを口々にする生徒の皆さん。 新入生歓迎会や相談所のことがあってすっかり忘れていましたが、もうそんな時期でしたか。 体育祭。優勝に向けてクラスで協力し、他のどの行事よりも団結力が高まる一年に一度の一大イベント。 私の普段の遊びの成果を発揮する機会でもあります!だっていつも遊んでますからね!私!それはもう現代の小学生にだって負けないくらいには。 「体育祭といえば借り物競争に女装イベントだよね!」 「裕君、不純です」 「腐男子ってのはそういうものさ☆さっちゃんもBLに興味があるなら王道イベントは履修しとかないとね!」 「と、言われましても・・・。結局何が王道で何が王道でないのか分からないのですよ」 「そんなの適当だよ。王道・・・というか、人気が出たものの基本形って派生にどんどん押しつぶされていくんだよね。粘土みたいに原型なんてほとんど無くなっていくの。でもその中に辛うじて残った作者の共通の意識がある。それを俺は王道だと思ってる。」 「つまり王道というのは結局自己解釈だと?」 「そういうこと!王道学園モノだって言っても、王道転校生とは全くと言っていいほど関わりのないキャラが主人公になったりする。でも人気が出れば、今まで焦点の当たらなかったはずのキャラなのに、それを描いた作品がどんどん増えてくる。それで、そのキャラが作品の主人公として描かれるのが当然の認識になってくる」 「そこまできたら、それはもう王道ということですか」 「そ!まぁ俺が勝手にそう思ってるだけなんだけど」 「会長様と親衛隊長様が結ばれたのも王道展開ですか?」 「うん。俺的にはね」 なんと言いますか・・・普段もそれくらいちゃんとした意思疎通をしてもいいと思うのですよね。裕君、BL関係になるとやたら直情的なので。
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