小春日和

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モテモテ…。 いや、正確にはヤリチン…。 「西原さん、今日は来てくれて有難う」 「えっ?!ああっ、と、とんでもないッ」 振り返るとそこには、雅さんがいた。 花嫁の母らしく、招待客1人1人に 挨拶をして回っているらしい。 「ごめんなさいね、私だけじゃなく、 娘の結婚式にまで出させてしまって」 私は結婚を機に経理部へ異動となり、 雅さんは商品開発室のままなので、 あまり話す機会が無いのである。 「いえいえ、何を仰るやら。 本当に唯ちゃん、綺麗ですね。 さすが20歳の花嫁だわ。 私、30超えて結婚式したから、 カメラマンが修正大変だったみたいで」 アハハ!と豪快に笑ってみせると、 雅さんも一緒に笑い出す。 「相変わらずねえ、なんだか安心したわ。 それにしても驚いたでしょう? あの唯と森嶋くんが結婚…とか」 「もちろん驚きましたよお!! なんで反対しなかったんですか?!」 森嶋くんは一度結婚したものの、 僅か2年で破綻。 バツイチとなった後で唯ちゃんから 執拗なアタックを受けたらしい。 「したわよお。 でも、唯、ファザコンだから…。 森嶋くん、死んだ主人ソックリでしょ? 年齢差もむしろ丁度イイと思ったみたい」 「だからって、すぐに介護ですよ、介護」 「それも言ったのよ。 でもあの子、相手が不治の病だと 知りながら結婚したお母さんに そんなこと言われたくないって…」 「う…わあ…。 なかなかの鋭いツッコミですねえ」
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