28話 闇オークション

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 ロランは、「風・水・火・土」の4属性魔法と付与魔法の行使を可能とする『四元魔境』、高位の治癒魔法の行使を可能とする『聖天魔境』、召喚魔法の行使を可能とする『黒天魔境』、物質の混成・分解に関する魔法行使を可能とする『錬成(れんせい)魔境』、生活に関連した魔法行使を可能とする『家事魔境』、あらゆる毒の解毒に対する魔法行使を可能とする『滅毒(めつどく)魔境』、呪詛(じゅそ)を解除する魔法行使を可能とする『解呪魔境』を次々と落札していく。  これには同席していたニコラスも唖然とした。主要な『魔境』全てを落札したことにも驚愕したが、落札するためにロランが使用した金額が白金貨5250枚であり、王都カントにおける年間予算の約2割を何の惜しげ(おしげ)もなく使用したからである。  ロランは、オークション会場の別室で落札した『魔境』に「我、(なんじ)の契約者なり(いにしえ)の盟約により我に力を享受せよ!」と詠唱を唱え、能力を取得していく。  ニコラスとオークションサイドは、『魔境』毎に効力を得られたか確認するようロランに促したが、ロランは『理力眼』により自身の新たな能力を把握できたため、別室内での効力確認は行わず、次から次へと7つの『魔境』より能力を取得し、能力を失い鏡面は灰色に変化していく『魔境』を魔法鞄に収納していく。  「雷魔法最上級魔法である『ケラウノス』を使用することはできるが、使用すれば魔族と誤解されるし、魔力を使い切ってしまって実践的ではないからな…これでやっと『理力眼』に頼らずに魔法の行使が可能になった」と安堵する。  ロラン自身は、人並みに魔法行使が可能になった程度に考えていたが、この世界において世界を構成する7起源とされる『風、水、火、土、光、闇、生命』の内、生命を除く6起源に干渉できる者など、200年前に現れたと伝えられる勇者以外には存在しないことに気付いていない。  ニコラスは「とんでもない逸材(いつざい)を味方にできた」と薄笑いをしていたが、仮面をしていたのでロランは知る良しも無かった。
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