<第一章> 夢の出会い(1)男の夢

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   それは時々届くウェブメールの一つ。普段ならば見もしない宣伝広告で、ただの迷惑メールに過ぎないものだった。しかしこの夜だけは、見えざる力に導かれるように、男の人差し指はひとりでに、マウスのボタンをクリックしていた。  パソコン画面に現れたホームページには、全国の新規オープンのナイトクラブの紹介が載せられていたのである。  男は地域別検索の選択バーを、『東京』に合わせてみた。  すると、老舗の高級クラブがひしめくという銀座にしては珍しく、新規開店の小さなクラブのページが現れた。  店の名前は、『クラブ・エテルナ』。  どことなく意味深なそのネーミングに、男の視線は誘導された。  店のトップページを開くと、水色とピンクを基調にした上品なつくりで、看板娘三人の写真が煌々と並び、男心をくすぐってくる。  そこで男の目は、一点に釘付けになってしまったのである。  言葉を失うほどの衝撃とは、まさにこのことだ。三人娘の中でも店のナンバーワンとして、トップページのセンターを飾るホステスの写真が、男の(まなこ)に焼付いたのである。  上品な純白のロングドレスを身に纏い。  ホワイトサテンのように透き通るほどの白い肌。  黒目勝ちで今にも吸い込まれそうな魅惑の大きな瞳。  ストレートロングの黒髪は、サラサラとたなびくようだ。  そのホステスは、僅かに首を傾げて天使の微笑みを魅せていた。  近ごろ男が見る夢には、美しい天女が、いつも決まって現れた。煌めくホステスの写真は、夢の天女そのものであった。    
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