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そろそろ待つこと30分――――
張りつめた糸が弾性限界を超えるように、男の心の均衡は破れた。心の中で始まった攻防戦は終結を迎えたのである。
結果は、早く会いたいと逸る心の革命軍が、待とうと思う忍耐心の防衛軍に、勝利してしまった。
「まだですか?」
男は堪らず、黒服のボーイを呼びつけた。
「申し訳御座いません。お客様。もう暫らく、お待ちください」
若いボーイは、マニュアル的な営業口調の対応だった。
「いつまで待たせんだ! 指名してるんだが?」
男は声を荒げてしまった。敗北した忍耐心は、とうとう言葉の制御もできなくなっってしまったようだ。
「本当に、申し訳御座いません。お客様。ご指名のホステスは、ただ今、先約の方に接客中でして、もう少々・・・・・・」
ボーイは深々と頭を下げるや否や、慌ててマネージャーのところへ走った。
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