<第一章> 夢の出会い(2)夢の天女

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   会話も弾みに弾み、男の心は踊りに踊った。  眼前の白いホステスの眩しさに、男はすっかり酔いしれていた。 「今日は、とうとう会えたんだ。俺、とっても嬉しくて、堪んない!」 「ありがとう! トワも嬉しい。・・・・・・お待たせしちゃった分も、サービスしちゃいますね!」  白いホステスは、男の肩にさらりと手を当てた。 「それは、それはありがたい。トワさん!」 「何か、新しいお飲み物で、乾杯しませんか?」  白いホステスは、飲み残しがある男のグラスを取り上げた。 「ハイ! トワさん・・・・・・」 「お替りのお飲み物は、何になさいますか?」 「ハイ! 何でも・・・・・・」 「でも何か、選んでくださいな?」 「トワさんと一緒なら、どんな酒でも、旨い酒。・・・・・・君に、お任せ!」 「では、わたしのお奨めので、いいかしら?」 「ハイ! お任せ!」  天にも昇る気分に、男は「ハイ!」と二つ返事で返すのが精一杯なのだ。心はすでに満杯であった。  お奨めのシャンパンを開けると、男は、魂の再会を祝う乾杯の音頭を取った。 「またこの世で、出会えたことに・・・・・・乾杯! トワさん」 「はい乾杯!」  グラスを合わせた瞬間、彼女の愛らしい笑顔が弾けて、男は眩しかった。 「・・・・・・でも、この世でって? 大袈裟ねぇ! 何か意味深なこと?」  白いホステスは、不思議そうな面持ちで首を傾げた。  彼女の問い掛けを機に、ここぞとばかりに男は語り出した。その弁舌ときたら、まるで講談師のように冴えに冴え渡った。  二人のこの出逢いが、夢にまで見た運命の出逢いであることや、不思議な時代劇の夢の話まで、男は懇々と語り聞かせた。  白いホステスは、突飛な話に言葉も出ないのか、只々頷きながら聞き入っていた。    
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