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「もちろんだよ! 君の一日の収入分を、俺は買うのさ・・・・・・」
トワの右手を、男は両手でしっかりと握りしめた。
「その時間で、デートするのね?」
「そう、その日は、俺の恋人になっておくれ! そして時々、絵のモデルも・・・・・・。仕事を忘れて、二人だけのステキな時間にしよう!」
「分かったわ。ただ、もう一つ、条件があるの」
トワの笑顔が、急に引き締まった。
「何だい、条件とは?」
「それは、お互いの自由を、束縛しないこと。そして、契約日だけの、お付き合いで」
「契約日かぁ?」
「そう! 週に一度、あくまでも契約の曜日だけ。だって、今のわたしには・・・・・・」
「そうだね。君の大きな夢のため・・・・・・。わかった!」
「ありがとう!!」
少し強張っていたトワの顔が、笑顔になって大きく弾けた。
「早速だけど、都合は、何曜日なら?」
「そうねぇ? エステサロンの書入れ時、金土日以外で・・・・・・、週の始めの方かな?」
「それじゃー、火曜日ではどうだい? 自分も都合がいいんだ」
「それはいいわね。火曜日ね!」
「じゃー、良かった!!」
「それって、『Ruby Tuesday』になるわよ」
「うん! ストーンズの名曲にあったなあ? ♪Ruby Tuesday♪♪ いい響きだ!」
「嬉しい! トワも、楽しんじゃうからね!」
トワの笑顔は、満面の笑みへと膨らんだ。
「もちろんさ、二人だけの火曜日は、恋人同士の時間だよ!」
「それなら、『 火曜日の恋人たち』の誕生ね?」
「うんうんうん。それっ!『白い恋人たち』みたいな響き・・・・・・だね? ちと古いかぁ?・・・・・・」
男は、脳天を掻き掻き照れ笑いだった。
「そっ、それぇー。うーん? オヤジギャグっぽい?」
トワの笑顔がはにかんだ。
「よーし! これで契約成立だあぁ。よろしく! トワさん」
「ハイ!」
このあと二人は、契約の印ということで、固めの杯を交わすことにした。
紅いワイングラスを合わせ、契約の乾杯をしたのであった。
![image=512201184.jpg](https://img.estar.jp/public/user_upload/512201184.jpg?width=800&format=jpg)
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