<第一章> 夢の出会い(3)契約の恋人

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  「もちろんだよ! 君の一日の収入分を、俺は買うのさ・・・・・・」  トワの右手を、男は両手でしっかりと握りしめた。 「その時間で、デートするのね?」 「そう、その日は、俺の恋人になっておくれ! そして時々、絵のモデルも・・・・・・。仕事を忘れて、二人だけのステキな時間にしよう!」 「分かったわ。ただ、もう一つ、条件があるの」  トワの笑顔が、急に引き締まった。 「何だい、条件とは?」 「それは、お互いの自由を、束縛しないこと。そして、契約日だけの、お付き合いで」 「契約日かぁ?」 「そう! 週に一度、あくまでも契約の曜日だけ。だって、今のわたしには・・・・・・」 「そうだね。君の大きな夢のため・・・・・・。わかった!」 「ありがとう!!」  少し強張っていたトワの顔が、笑顔になって大きく弾けた。 「早速だけど、都合は、何曜日なら?」 「そうねぇ? エステサロンの書入れ時、金土日以外で・・・・・・、週の始めの方かな?」 「それじゃー、火曜日ではどうだい? 自分も都合がいいんだ」 「それはいいわね。火曜日ね!」 「じゃー、良かった!!」 「それって、『Ruby Tuesday』になるわよ」 「うん! ストーンズの名曲にあったなあ? ♪Ruby Tuesday♪♪ いい響きだ!」 「嬉しい! トワも、楽しんじゃうからね!」  トワの笑顔は、満面の笑みへと膨らんだ。 「もちろんさ、二人だけの火曜日は、恋人同士の時間だよ!」 「それなら、『 火曜日の恋人たち』の誕生ね?」 「うんうんうん。それっ!『白い恋人たち』みたいな響き・・・・・・だね? ちと古いかぁ?・・・・・・」  男は、脳天を掻き掻き照れ笑いだった。   「そっ、それぇー。うーん? オヤジギャグっぽい?」  トワの笑顔がはにかんだ。 「よーし! これで契約成立だあぁ。よろしく! トワさん」 「ハイ!」  このあと二人は、契約の印ということで、固めの(さかずき)を交わすことにした。  紅いワイングラスを合わせ、をしたのであった。      image=512201184.jpg   
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