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教授の話しによると――――
日記帳は、教授の高校時代の恩師で、二十年前に亡くなった美術教師から、特別に預かり受けたものだった。そして、「自分が死んで二十年経ったら、この日記帳を一人の男子学生に渡して欲しい・・・・・・」と、恩師からの遺言だったという。
ある男子学生とは――――
同大学の剣道クラブに所属する二年生位で、名前は不明とのこと。分かっていることは、冬生まれの二十歳くらいの男子、剣道の有段者。そして、おそらく痩せ形で、きっとイケメンだろうと。
因みに、「イケメン」なんて今では死語になってしまったが、平成の時代では男前の意味合いで使われていたそうだ。イケてるメンズの略称だという。
その時代では、やたら略称で呼ぶことが流行ったらしい。その中には、JKとかCAとか、KYなどと、アルファベットでイニシャルのように呼ぶことも多々あった。JKは女子高校生、CAはキャビンアテンダントの意はわかるが、KYに至っては「場の空気が読めない?」の略だという。ここまで来ると、言葉の乱用も甚だしい。
美しい日本語の復興が謳われている現代では、あまり相応しくない言葉遣いの数々だ。
さて、この大学の低調なサークル活動の中にあって、最も古い伝統を誇り、全国大会出場など活動も盛んなのが、我が剣道クラブである。毎年優に三十名は下らない部員数も誇る。
そんな中で、条件を満たす人物というのが、奇遇にも一人しか居なかった。
・・・・・・それが自分だったのだ。
僕は、ほんと身に覚えのない話に訳も分からず、軽い気持ちで日記帳を預かってしまった。
しかし、日記を読み解くと、想像を絶する驚愕の事実を思い知らされることになったのだ。それに、こんな日記帳が自分に届いた理由も・・・・・・。
このような経緯で突然届いた日記には、不思議なお伽噺のように、時空を越えて綴られていた。それは宿命の魂が紡ぐ、男と女の甘く切ない純愛物語で、まさに魂の物語であった。
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