<第一章> 夢の出会い(4)火曜日の恋人たち

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   男は、一時間ほどひたすら走らせた筆を休めた。一休みしようと言い残し、自ら自販機まで走った。  一番近い自販機までは100m程あったが、男はものの一分もかからず戻って来た。その手には、濃い水色と薄茶色のコーヒー缶が二つあった。 「どっちにするぅ?」  トワの眼前に二本の缶を差し出した。  アルプスのような尖った山脈を描いた濃い水色の缶と、パイプをくわえた老人の横顔イラストの薄茶色い缶だった。 「どちらでもいいわ! 好きな方を取って」 「分かった。じゃー、これを・・・・・・」  男は迷わず濃い水色の缶を差し出した。 「ありがとう!」  トワは、にっこりと微笑み受け取ると、タブを外して乾杯の音頭をとった。 「お疲れさま! 乾杯」 「乾杯! トワもお疲れさん・・・・・・」 「缶コーヒーって、意外と美味しいわね。いつもこれ?」  トワは目を丸くしながら訊いた。 「うん! 味と言うより、俺は、このデザインが、いいんだ」 「デザイン? ああ、この絵のことね!」  トワは、缶に描かれた山脈の絵を指差した。 「その通り! その絵が、好きなんだ・・・・・・」 「えぇ? どこが?」    
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