<第一章> 夢の出会い(4)火曜日の恋人たち

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  「実は、生前は、あまり認められなくて、亡くなってから、彼の評価が上がったんだ。時代が彼に追いついたって、とこかな?」 「うーん。ほんと凄い人なのね。・・・・・・でもちょっと、可哀想な?」  笑顔だったトワが、少し眉をひそめた。 「それからセザンヌは、愛する妻をモデルに、描き続けたんだ。・・・・・・死ぬまでずーっとね」 「ええーっ? それ、とっても素敵なお話!」  トワの瞳の奥に、きらりと光るものが窺えた。 「俺も、そんなセザンヌを、目指すんだ。・・・・・・いつか彼の作品を、観に行こうか?」 「まあ、ホントに! 楽しみだわぁ!」  トワの大きな瞳が、うっすらと潤んできた。 「・・・・・・でもね、俺が描きたい絵は、ダビンチかな?」 「えっ? 今度は、ダビンチィ??」 「そうさ! 二十一世紀のモナリザを描くんだ」 「モナリザですってぇ?」 「そう、モナリザだよ。・・・・・・だって、こんなに、素敵な、モデルを、見つけたからね」  男は照れ隠しに、トワの右手を優しく包みながら、ゆっくりと答えた。 「まあぁ?」  トワはちょっぴり照れ笑い。 「うーん、トワの絵を・・・・・・。魂で、描くんだ」    
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