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それからどれくらい時間が経ったか。
車内には相変わらずピリピリとした空気が漂っていた。
俺はふたたびバックミラーを覗いた。見ると相手はゆさゆさと片足を揺らしてかなりイラついてる様子だった。
「おい、おっさん!さっきから1mmも動いてねーじゃねーかよ!!」
たしかに……彼のいう通り、この車はさっきから1mmも動いてない。でも、決してわざとではない。これにはれっきとした理由があって……
そのとき、彼は拳銃を運転席の頭の部分に押し付けてきた。
「さっさと出発しろやああ!!ぼけええ!!」
いや、違うんだって。
これにはれっきとした……
「急いでんだよ、こっちはよおお!!」
理由が……
「早よしろやああ!!俺はな、一刻も早く空港に……」
「んなこと知るかあああ!!!」
俺は堪らずキレた。
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