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「だからもうオーディションとかそういう気分じゃなくて……」
「ちょっと待て」
俺は彼の話を止めた。
「オー……ディション?」
そのワードを繰り返すと、彼はキョトンとして頷いた。
「はい……あ、そうか。ちゃんと説明してなかったですね」
すると、彼は姿勢を正してバックミラーの俺に話しかけてきた。
「実は僕役者の卵でして、今日は大きい舞台のオーディションがあったんです。ヤクザメインの作品で、衣装やメイクもバッチリ揃えて……」
バシン!
思わず手が先に出た。
俺は気付いたら彼の頭を叩いていた。
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