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互いの息が上がる。互いに強く絡め握られた手。
湿気が高くカビ臭い裏路地の奥。配管と配線。所々から噴き出す高圧の蒸気をかいくぐりたどり着いたソコは、まさにこの街の底だった。
腕輪にしこまれたライトの灯りだけで互いの表情が伺える。壁に背を預けその場に崩れ、座りこむ。
息もまだ整え終わる前に二人は強く抱き合った。
逃げられないのはもう解っていた。あの処刑台を背にした時…。
暗い暗い暗い…
この暗闇の中、この触れあう身体の熱が同じになる…。
「我が…主…アル---
遮られた言葉を呑み込むと共に、 熱が身体の内側へと流れ込む。
互いの熱を呑み込むと、腹の底から熱が溢れ出す。
溶け合うこの感覚を何度味わったのか思い出すのも煩わしくなる。
「…もう、何も申すな……」
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