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「これはオレ様にツキが回って来た!交換はこの一枚だけだ!」
「はいはい」
調子に乗り始めたカルミアが、一枚のカードを差し出してくる。適当に彼を流しながら、俺は山札から一枚カルミアに手渡した。
「リベルタは?」
「では、三枚お願いします」
「了解」
何度か瞬きをして自身の手札を見つめた後、リベルタは三枚のカードを差し出す。あまり良いカードが手元になかったのだろうか。心なしか、リベルタが不服そうに見えた。
「それじゃ、オープンな」
「くっくっくっ、次こそオレが勝つ!」
カルミアは高らかに笑いながら、カードを一斉に表にした。カルミアの手札が、俺とリベルタに突きつけられる。
そこには、5のカードが四つとスペードのエースが並んでいた。
「オレはフォーカードだ。さすがのリベルタでも、これは勝てないだろ?」
「ほぉ……今回ばかりはカルミアが勝ちそうだな」
「だろ!?いや~、やっとリベルタに勝てるものができた」
鼻の下を擦りながら、カルミアはしたり顔でにんまりと笑う。
一方のリベルタは、手札を見つめたまま動かない。不思議に思った俺は、バレないようにそっと彼女の手札を覗き込む。
「うわっ……」
思わず俺はそんな声を零した。それにカルミアは気づいていない。今もなお、得意顔でリベルタの手札がオープンされるのを待っている。
しかし俺は、一足先に彼女の手札を見てしまった。さすがの俺も、これには目を丸くする。運というものは、つくづく悪戯な性格をしているとその時思った。
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