Prologue

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 その日、世界は崩壊した。  決してそれは比喩表現なんかではなく、文字通りの崩壊だった。  人工知能やアンドロイドの研究が著しく発展した世界。もはや人の手で世界を支えることを放棄した世界は、ある日突然神の裁きを受けることになる。  この世で最も大きな研究所であるユニバース研究所で、アンドロイドによる暴動が起こった。それまで人間の管理下にあったアンドロイドや人工知能搭載のロボットが、突如人間に刃向かったのである。この世界の優秀な科学者達が発明したアンドロイドは、自身に搭載された様々な機能を用いて次々に人間を虐殺していった。瞬く間に研究所の人間は全滅し、ただの殺戮兵器と化したアンドロイドにより、周辺地域の街は壊滅した。被害は一日にして世界の四分の一。人類の半分が死亡した。  後にこれは、ファースト・インヴェイジョンと呼ばれることになる。  それが起きたのが今から八年前。俺がまだ十歳の時のことだった。  その三年後、勢力を増したアンドロイド達が再び暴動を起こすことになる。これが、セカンド・インヴェイジョン。二度目の世界の崩壊だった。人類の九割は滅び、世界を支配するのはアンドロイドになった。アンドロイドが主となる機械の世界には、人類にとっての安息の地など存在しない。建物は破壊され、発展した文明は風化した。絶え間なく生き残りの人類や別のアンドロイドとの戦闘が繰り広げられ、世界のほとんどは廃墟と化していく一方だった。  そんな中、生き延びたごく僅かの人類は、とある街に拠点を作った。生き残り、自由を取り戻すために、殺戮兵器と化したアンドロイドやロボット──通称リベリオンと戦っている。  拠点であるこの街の中心にあるセイクリッド研究所。そして、アステル大学が俺達の帰るべき場所だった。
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