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「あー、やっと終わったぁ」
「疲れたね~」
戦闘が終わり、カルミアとリリアがのびのびとした様子で歩いてくる。服が汚れたり多少の傷を負ったりしているが、二人とも無事のようだった。
「エルマ、どうかしたのか?」
「なにかあったのー?」
アスタの歩いて行った方をぼんやりと見つめていた俺を、カルミアが覗き込んでくる。リリアも不思議そうに首を傾げて俺に尋ねた。
「……いや、別に」
俺は目を伏せてそう誤魔化した。この二人にアスタのことを話せば、また厄介なことになる。今はとりあえず黙っておこう。
それにしても、アスタのあの攻撃は確実にリベリオンに向けたものだった。アスタがあの大鎌を振るう時は、リベリオンが出現した時くらいだ。
アスタが切りかかってきた時点で、リベリオンは全て破壊されていたはずだ。それはこの場に居たものなら、見れば分かることだろう。それなのになぜ、アスタは俺に攻撃をしかけたんだ。
そこで俺は、ふとリリアの話を思い出した。
人を乗っ取るアンドロイド。
まさかあの話は本当なのだろうか。にわかに信じがたい話だが、一瞬だけ事実かと思い込んでしまう。アスタが既に乗っ取られていたりするのだろうか。……いや、そんなはずはないだろう。
アスタの攻撃の真意は、考えても分からなかった。
「あーあ、オムライス全部食べたかったなぁ」
「諦めろって。帰ったらもう寝とけ」
「やだ~!まだ寝たくない!」
「お前は幼稚園児か!」
二人は漫才を繰り広げながらポータルの方へと歩いていく。せっかく倒し終わって二人とゆっくり話したいが、今はアスタのことが気がかりでそんな気分になれなかった。
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