夜の戦闘

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「マスター、どうかなさいましたか?」  いつまでもその場から動かない俺に、リベルタが声をかけてくる。いつの間にか彼女は目の前に居て、星屑を取り込んだ赤い瞳がこちらを見つめていた。 「……いや、何でもない」  俺はリベルタの頭を撫でて小さく笑む。 「お疲れ様、リベルタ」 「マスターもお疲れ様です。お怪我はありませんか?」 「あぁ、大丈夫だ」 「良かったです。それでは、帰還いたしましょう」  そう言ったリベルタに頷き、俺はようやく歩き出した。    ポータルの方へ歩いていけば、カルミアとリリアが待ちくたびれたかのようにムスッとした表情をしていた。そんな二人にとりあえず謝罪すれば、「早く帰るよ!」とリリアに手を引かれた。  ポータルを通る前に、俺は一度だけ振り返る。  街の外に広がるガラクタの山。煤けた地面。今日も争いの跡が世界の一部に刻まれた。この戦いが、自由を取り戻すために意味があったものだと思いたい。期限はあと四日。俺たちは、この残された時間で何をすべきで、どんな風に過ごせば良いのだろう。  静かに瞬く星空は、その答えを教えてはくれなかった。
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