償い

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 ――あぁ、胸が痛い。  俺はまた人のために戦うだけの兵器を生み出してしまうのか。今更、だなんて人は笑うかもしれないが、こればかりは理屈は分かっていてもどうも納得できない。ただ戦うだけの機械だなんて、生み出された側は一体どんな気持ちなのか。それを感じる術すら、彼らには無いのだけれど。    俺はリベルタ以外のエルピスを生み出したことはない。自分のために戦闘兵器を生み出すのはあれで最後だと決めたからだ。  しかし、俺はこうしてプログラムを開発したりエルピスにインストールすることによって、結果的には兵器を生み出してしまっている。人間が生み出したアンドロイドたちは、俺の手によってただの戦闘兵器と化すのだ。  俺はプログラムを起動させる。インストールしますかと、画面が問いかけてくる。部屋中に並ぶエルピスたちを一瞥し、俺は唇を噛んだ。  ……やるしかない。世界の自由のために。  エンターキーを押した瞬間、部屋中に張り巡らされたコードが僅かに光を灯す。青白い光は流星のように駆け、眠るエルピスたちの中へと溶け込んでいく。画面の中では夥しいほどの文字が羅列され、コンピュータは小さな機械音を立てていた。  戦闘プログラムが、エルピスたちの中に注がれていく。エルピスに魂が宿り、固く閉じられていた彼らの瞼は、ゆるりと上がった。  光のない無数の無機質な瞳が、俺をじっと睨みつけているような気がした。
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