Play a Game!

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「お、エルマ。お疲れ様」 「……あぁ」  第一研究室を出ると、扉のすぐ横でカルミアが壁に寄りかかって立っていた。彼の隣には、きっちりとした姿勢で佇むリベルタも居る。 「何かあったのか?酷い顔してるぜ」 「……別に」  それほど表情に出ていたのだろうか。カルミアが怪訝そうな顔をしながら俺の顔を覗き込んでくる。目を逸らしながら小さな声で返せば、カルミアは少しだけ怒ったように目を細めた。 「何だよ水臭いな。ま、ノーマンのことだ。エルピスに何かプログラムしろとか言われたんじゃねぇの?」 「分かってんなら聞くなよ」 「あれ、当たってたのか」 「あぁ。戦闘プログラムを入れろとさ」 「そんなの自分でやればいいのに」 「本当だよな。今、調整担当が居ないだとかで俺がやることになった」  先程のノーマンとの会話を思い返しながらカルミアに告げる。面倒くさそうな顔をしながら、カルミアは研究室の方を一瞥した。 「……俺は、戦闘プログラムのみを入れるだなんて反対なのに」  前髪をくしゃりと握り、俺は唇を噛む。ギリッと歯が唇に食い込む音がした。絞り出した声は自分でも情けないくらい小さくて、弱々しいものだった。  カルミアは、小さな声で俺の名を呼ぶ。困ったような空気がそこら中に漂っていた。リベルタも何を言っていいか分からないのか、じっとこちらを見つめていた。
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