87人が本棚に入れています
本棚に追加
ビシッと人差し指でリベルタを指すカルミアは、あれだけ惨敗したというのに得意げな顔をしていた。
「承知しました」
「はぁ……こんなんで三日後大丈夫なのか?」
「まぁまぁ。ちゃんと準備はするし、息抜きは必要だって言っただろ?」
「お前の場合は、いつも息抜きだろうが」
「違いねぇな!」
呆れたように零せば、カルミアは全く悪びれる様子もなく豪快に笑った。
「さてリベルタ、二戦目行くぞ!」
「お手柔らかにお願いします」
そんなことを口にしているが、リベルタにそのような気持ちは微塵もないし、むしろお手柔らかにするのはリベルタのほうだ。
「じゃあエルマ、不正がないように見張っといてくれよ!」
「お前をか」
「二人をだろ!」
リベルタが不正などするわけないだろう。そう返したかったが、面倒なのでとりあえず黙って観戦しておく。
二人のチェス対決第二回戦が幕を開けた。
*
「う……なかなかエグイ攻め方するなぁ」
「そうでしょうか?」
「そうだよ!」
開始から約十五分。現時点でリベルタが圧倒的に有利な戦況だった。カルミアは諦めていないものの、なかなかに渋い表情をしていた。
「げっ、また駒とられた……」
「お前、頭いいくせに脳筋タイプだよな」
「ミトサと一緒にすんな!」
「誰もミトサが脳筋タイプだなんて言ってねぇだろ。ミトサが可哀相だな」
「本心でそう思ってねぇだろ」
「まぁな」
心の中でそっとミトサに謝っておく。だがまぁ、アイツは誰がどう見ても脳筋と言われるような性格をしているから仕方がない。
最初のコメントを投稿しよう!