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身体が固まり、俺は突然のことに軽くパニクる。
「え? なに?......割れた......なんで......なにこれ?」
Kに目をやると特に動じることもなく、割れたグラスを一瞥して自分のビールをゆっくりと飲み干し、口を開いた。
「なんなんだろな──これ? 最近たまにさぁ、ちょくちょくあんだよな、こーゆーこと、なんか勝手に物が割れたり、寝てると急に胸が苦しくなったり──」
「お前それ......、やっぱ地蔵の祟りじゃねぇか!......今からゴミ回収して謝りに──」
「だーからぁ、違うって、なにが地蔵の祟りだよ、ぷっ、そんなんあるわけねーだろ、ぷぷっ、小学生かっ、おまえは」
「はっ? 何笑ってんだよ! ふつーじゃねーだろこんなの──ってうわぁ!」
言ってるそばから、壁に掛けてあった鏡が派手な音をたて破裂し、続けて箪笥の上の置時計が真っ二つに割れた。
次にどーなるのかと身構え、警戒している俺に対し、Kは悠然とした態度で言う。
「まあ、これはあれだ。あの日捨てた冷蔵庫の中にさあ、詰めて一緒に捨てたほうに原因があんだよ、──多分」
「──冷蔵庫の中身? なんのことだよ?」
「やっぱ怒ってんだな、──お袋」
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