1.劣等感ていうのは、自分だけが感じるものなんだよ

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1.劣等感ていうのは、自分だけが感じるものなんだよ

 私は、自分の中に流れる女の血が嫌いだった。  男に溺れた母親のようにはなるまいと、必死で自分の中の女を排除してきた。感情の赴くままに動かず、女だからと甘えず、男にバカにされないよう対等に渡り歩こうと生きてきた。  だから必死で勉強をした。努力をした。泣き言を言わなかった。  女同士でする足の引っ張り合いも軽蔑していた。  そんな私は、たった一人、尊敬できる男性と出会った。  その人に認めてもらいたくて、より懸命に努力した。成績を上げた。追いつきたくて、必死だった。  だけど、私のそんな努力を嘲笑うかのように、彼の隣にはいつもあの子がいた。  邪魔だった。  悔しかった。  いつもヘラヘラとして、大して頑張ってもいないくせに簡単に私を超えた。そして、私の欲しいものばかりを奪っていった。  どうして? どうして私じゃなくて、あの子ばかりが手にするの? どうしてあの子ばかりが気にかけてもらえるの? どうして庇ってもらえるの? 守ってもらえるの? 私の方が何倍も努力しているのに。  どうして嫌っているのに笑いかけてくるの? 声をかけるの? 普通に接してくるの?  これじゃ、私がバカみたいじゃない。私に近づかないで。あんたなんか、大っ嫌いよ。
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