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リアカーを引いたまま気まずい空気が流れる。もう遅いけどとりあえず会話を試みる。
「えっと・・・・ここは私の家の敷地内なんだけどなにやってるの?」
半分くらい本当だからいいでしょう。
「えっ。本当?ごめんなさい。何となく絵を描こうと思って歩いてたらここまできちゃったんだ」
嘘っぽいけど。不思議と嘘は感じられなかった。
「そこに積んでいるのは人なの?」
確信を突かれて一気に周りの空気が凍りつく。
「そうだよ」
冷たい空気を吐き出して、ポケットのナイフを握り締める。ここで始末しないといけないのか。
「そうなんだ。どこかに運ぶの?手伝おうか?」
「えっ?」
意味がわからない。普通とは違う反応に気勢が削がれた。
「これ本物の死体だよ」
最後通告のつもりで言ってみた。
「うん。何度も見たことがあるからわかるよ」
本当だろうか。一般人にしか見えないけど同業者なのかな?動揺がみられない。
「そうなんだ。ありがとうでも自分で運ぶからいいよ。あなた名前は何て言うの?」
「蟻塚双翅。君は?」
「葛木美甘」
2人の間に一陣の風が流れた。
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