「性的少数者」ということ

2/4
前へ
/4ページ
次へ
彼は、2013年に29歳の若さで亡くなっている。もともとの原因は盲腸だった。早期に外科手術を受けていれば助かっていたところを、体に傷をつけることを嫌い、最終的に盲腸破裂からの敗血症により亡くなったとのことだった。 残念ながら、私が彼の存在を知ったときには、すでに亡くなって数年が経過していた。面影を追いかけようにも過去の人。彼が載っていた本や雑誌も希薄で、インターネットを頼りに彼のことを調べた。 その過程で1つ気になったことがある。インターネット百科事典ウィキペディアの岩手県や盛岡市の項目に、所縁のある有名人として彼の名前が挙げられていないことだ。ウィキペディアは誰もが書き込みのできるツールである。だからこそ岩手県で生まれ育った彼の名前が書き込まれていないことが不思議で仕方がなかった。そもそも、彼の存在を知らない岩手県民も多いのではないかと思う。誤解を恐れずに言うなら、それは彼のアイデンティティと偏見が原因なのだと思う。 近年、漫画やドラマを中心としたメディアを通じて「LGBT」という言葉が多く聞かれるようになってきている。性的少数者の代表的な人々の頭文字をとったもので、Lはレズビアン、Gはゲイ、Bバイセクシュアル、Tはトランスジェンダーを表す。性的少数者については、日本でもこの数年ようやく「こういう人たちもいる」という認識がされてきたばかりで、偏見や差別は根強い。     
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加