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「あの姿には、さすがに惚れたな」
「・・・へっ?」
宮本くんの呟きに、間抜けな声を出してしまった。
「有島さんに?」と尋ねると、宮本くんは「そう」と答えた。
(・・・宮本くんが、有島さんに・・・)
複雑な気持ちになってしまった。
すると、それを感じ取ったのか、宮本くんはニヤリと笑った。
「おまえ今、有島さんに妬いただろ」
「・・・は?」
「『私を好きなはずなのに』って、絶対ヤキモチやいただろ」
「は・・・はあっ!?」
腰までかかっていた毛布をドーン!と払い、大きな声で私は叫ぶ。
ありえない。
そんなわけない。
あるはずなんて絶対にない!!
そんな気持ちで、怒りをこめて。
ーーー1週間前、私は宮本くんに「つき合ってほしい」と告白された。
飲み会の帰り道。
最初冗談だって思っていたけど、「酔っているわけじゃない」と、「ずっと好きだった」と何度も真面目に告げられた。
その目は真剣。からかっているわけじゃないって、それは私もわかったけれど・・・。
元彼に、フラれて間もない時だった。
気持ちの整理はついてない。
簡単に「新しい恋」なんて切り替えることもできないし、なにより、同期の宮本くんをいきなり恋愛対象として見るなんて、できる自信が私はなくて、彼の気持ちを断った。
だけどそれから、宮本くんを意識するようになったのは確かな事実。
元々嫌いじゃなかったし、かっこいいのは認めるし。
それは確かに、確かな事実なんだけど・・・。
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