未定

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「それで今日は許してやる」 「え?あの・・・『許してやる』って、それが、私がする、お詫びの代わり?」 「そう」 「・・・」 わからない。 私が言葉を茶化したことを、「送ってもらう」で許される? このまま、置いてけぼりにされるというならわかるけど・・・。 眉間にぎゅっとシワを寄せ、言葉の意味を考える。 すると、宮本くんは苦笑しながら私に言った。 「心配すんな。送り狼とかならねえよ」 「!」 「あ、お望みだったらもちろんするけど」 「ま、まさか・・・っ!」 そんな心配、していなかった。 けれど言われて、想像しそうになったじゃないか・・・。 恥ずかしくなり、歯向かうように顔を上げると、予想外の甘い視線と目が合った。 (・・・ーーーーー!) その眼差しに捕らわれた。 一瞬で。 私の心は、彼にすべてを盗まれた。 「オレが心配なだけだから。送らせろ」 胸が鳴る。 頬が紅く染まるのが、自分でもわかるようだった。 ーーーあたたかい彼の体温と。 耳に触れる、優しい声の心地がよくて。 もう、誤魔化すことなんてできない、恋が必ずはじまる予感。 「・・・うん」 私は素直に頷いた。 甘く、高鳴るような気持ちもこめて。 ☆   ☆   ☆   E N D   ☆   ☆   ☆  
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