いつかの苦いラブレター

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 終電に飛び乗り、帰宅して直ぐ風呂に突入。あがり次第、買っておいた酒とツマミを目の前に、テレビのスイッチをオン。  中西カズヤ、二十五歳。社会人デビューと同時に一人暮らしを始め、早七年。満足しているかは別として、この生活にも慣れた物だ。  面白い番組を求め、適当にチャンネルを変えていく。すると、恋愛ドラマに差し掛かった。制服姿の少女が、同じく制服を着た少年に告白を試みるシーンだ。  約十秒──好きです、と少女が言いかけたところで、思わず電源を切る。立ち上った不快感が、酒に手を伸ばさせた。  僕は、恋愛と言うものが苦手だ。告白はもちろん、恋人同士愛しあっている所を見ると、とある日のことを思い出してしまうからだ。  実は中学二年生の時、僕は恋愛において盛大な失敗をした。失敗、と言うと些か表現に語弊がありそうだが、トラウマになっているのだからそう呼ぶべきだろう。
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