いつかの苦いラブレター

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 それから数日、残業が続いたからか坂田さんとは会わなかった。正直、心の底から安堵している。  ラブレターの話の続きが気にはなったが、聞いたところで碌な話ではないだろう。気にするだけ無駄だ。そうそう、気になったら負け。気にしてない、気にしてない。  いや、でも坂田さんのことだから、悪いことは言わないはずだ……って気にしてんじゃん僕。  笑い話にでも、しておけば良かっただろうか。あの時は若かったと、流しておけば良かっただろうか。  なんて、再び後悔が湧き出ては、駄目だと首を横に振る。  そうだ、もういっそ忘れてしまおう。あの時一度は捨てた恋心だ。同じようにして、また捨ててしまえばいい。  今回は、恥ごと全部。
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