-第一章-

5/10
前へ
/35ページ
次へ
や、痴漢だと思うけどそんな堂々と言えるのって凄いよね なんて他人事に思っていたらまぁ、他人事だけど 「な、何を急に言い出すんだ君は!ただ後ろに立っていただけで変な言いがかりはやめて頂きたい。こっちは連日出勤で疲れているっていうのになんなんだ適当な事を言って金取ろうというのか!」 「いいえ、お金を頂戴しょうという気持ちはまったくありません。ただ触るだけ触って自分はいい思いをし、これから堂々とご出勤ですか?そんな事は許されません。次の駅で一緒に駅員さんの所へ行っていただきます」 まくし立てるように反論する男とは違い、敬語を使いつつもズバズバ言うふわふわ女 怒っているのにあくまでも冷静に、大人の態度だ ふわふわな髪とは違って中身はサバサバ系かも 改名、ふわサバ女 「冗談じゃないぞ!こっちはこれから出勤なんだ、なんでやってもいない事に付き合わなきゃいけない。そんな事を言うなら証拠出「証拠を出せば、一緒に駅員さんに会っていただけるのですね」 「な、」 「証拠を出せば、駅員さんに会って罪を認めるのですね?と聞いています。どうですか?」 まるで電車からそこだけ切り取られたように会話が続く や、もう男の方は狼狽えるばかりで会話になっていないな 皆が ふわずば女子に気を取られている中電車はいつの間にか駅に到着し、 男が「ふ、ふざけんじゃないぞ!」と謎の捨て台詞を吐き人を押しのけ電車から飛び出した おおー パチパチと喝采が響く 電車を降りる人波が続き、男の姿はあっという間に見えなくなり、 電車に入ってくる人波は何事かとうろうろする その隙間にふわサバ女のまた頭が見えた 追わなかったんだ まぁ、追って逆上されても困るよね
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!

31人が本棚に入れています
本棚に追加