-第一章-

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「え~もう行っちゃうのー?まだ会って30分も経ってないのに!」 これ以上ここにいても由香の話はいつまでも終わらないのは簡単に予想がつく だから先にさようならするしかない 「由香も山本ん所行くんでしょ?早く行かないとまた研究室に延々と閉じ込められるよ」 「はぁー‥考えただけでゾッとする。あの禿げ頭に自分の研究式に閉じ込められて延々とお説教だよ?まじ加齢臭半端ないから。しょうがない、遅かれ早かれ行かなきゃいけないもんね。じゃ、また連絡するねぇ~」 意外にあっさりと由香と別れ3階にある目的地へ向かう 何かの準備室であるその一室はベランダがあり柱の後ろに隠れればどこからも 死角になれるその場所は喫煙者にとってすごく貴重な場所 じゃないと寒い中大学を出てコンビニの喫煙所まで行かなくなる 「おじゃましまーす」 ガチャリと鍵をかける事は忘れない 春休みだから貸し切り状態。素晴らしい ベランダへ出るとまだ少し冷たい風に吹かれるも、日差しは暖かい タバコを咥え手で風からジッポーを守りタバコに火をつける 「ふぅ…」 あーやばいなんか眠くなってきた 春日ってなんでこうも柔らかくて眠りを誘うんだろう とその時、眠気を邪魔するようにジーンズのポケットにある携帯が震えた チッと心の中で舌打ち またこの女か… 「はい」 「ゆ~う?なぁにしてるの?」 「…なに、酔ってんの?」 「ふふ。酔ってませーん!少ししか飲んでないもん。ねぇ、会いたいからこっち来ない?」
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