-第二章-

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「大丈夫よ、丈は短くなるけど間に合うように直す。岸上さん余りの布ありますか?えっと、由香さんだよね、ファッション科準備室まで行って練習用の布をビビットカラーで何色か持ってきてくれますか?急いでくれると助かります」 「は、はい!」と由香は状況も掴めないまま先生に指示されたとおりにドアの向こうへ走り出した それを見送って私も先生に言われた通りに余りの布を出して見せた 「手直し用にと思ってこの部屋に置いてました。実布とレースでありますが、丈は結構切られているので短めにするとして、どんなふうに直しますか?」 自分が手掛けた衣装なのに情けないながら…直しの案は何も思い浮かばない 後...25分。ここは先生の考えを聞くしかないな 「これだけあれば十分ですね。岸上さん布花作った事ありますか?」 布花? 「はい、作った事は何度かありますがそれで丈を調節できますか?」 「いいえ、丈は短くするしかありません。ミニワンピースになりますね」 とそれを聞いたモデルが今まで黙っていたのに 「ミニワンピになるなんて無理!足は出したくないしステージの下から中覗かれたらどうするのよ!私やめるわ!」と服を着て帰る準備をし出した それを見た先生が 「ショーに出たくないというのなら無理にとは言いません。ただそれとは別件で伺いしたい事がありますので、このままお待ちください」と言った 「なんでよ、別に帰ってもいいでしょ?契約金なら後日事務所から返すから」 とにかくモデルは帰りたいようだけど、次の先生の言葉にモデルも、私も固まってしまう 「まだ謝って頂いてません。この衣装を傷つけた事に対しての謝罪」 …は? 「な、何よそれ、私がやったっていうの?ふっそんな訳ないじゃない」 なんとか冷静を保とうとしているみたいだけど、モデルの声は明らかに動揺していた 「今弁解しなくても結構です。後程じっくりお話を聞かせていただきますので、とりあえずそこにおかけになって少々お待ちください」 まさかモデルが衣装を傷つけた本人?や、でも確かに… この部屋に入った時私は自分が誰だか言っていないのに、モデルは私がデザインナーだって事を分かっていた そんなおかしな点に今更気づく
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