-第二章-

6/20
前へ
/35ページ
次へ
私の声が発せられたすぐ後にモデルが「綺麗だった」と言った 「とても、綺麗で‥学生が作ったとは思えないくらい。だからアイツらがあんたを妬む気持ちもよく分かったの。誰にでもあるわけじゃない本物の才能の持ち主だって」 「切るにはとてももったいなかったけどね」と続けた 「でもなんで私がやったと分かったの?先生だっけ、あなた」 今度は先生に聞いているのが分かった。先生も手を動かしながら答える 「あなたが来る前にこの部屋に一度来て作品を確かめているからです。この前講師室で講師も入れて学生達が話している所を聞こえてきたので。まさかと思いつつも気になって見に来たんです。その時衣装はなんともなかったので、安心したのですが…」 先生気にしてくれてたんだ 「そう、その後に来た私が一番怪しいってわけだ」 「そうですね、確信はなかったのでこの後どのように聞き出そうか思いましたが、認めてくださって聞く手間を省けました。でも…、どうして言う気になったのですか?」 「それは…、あなた達が一生懸命その衣装を直すのを目の前で見てるからね。絶対認めないって思ったけど。もうこの際認めるわよ。それに…、本当に綺麗だったから…」 「分かりました。誰があなたに依頼したのかはショーが終わった後聞かせていただきます。それなりに処置をする必要がありますので」 視線を感じ顔を上げると、口角を少しだけあげ、柔らかく笑う先生と目が合った 「分かったわ。逃げも隠れもしない。ここで待ってるし正直に吐くから」 モデルは自分のした事を認め反省しているようだった それでも私は許せないけど 再び部屋に沈黙が訪れ、それを破ったのは誰かが部屋のドアを開けた音 見るとステージ準備のアシストだ 「準備まだ?!呼んでも返事ないし、来たけど。あと5分でショー開始だよ?!」 「先生どう?後5分で終わりそうですか?」 「そうですね、もう少し…10分頂きたいんですが、」 さすがの先生も迫る来る時間に少し焦っているようだ 「分かった。こっちは由香と私が作った分で布花足りると思います。後は、先生にお願いしてもいいですか?」 私の作品、先生に託してもいいのかな
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!

31人が本棚に入れています
本棚に追加