-第二章-

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「はい、任せてください。ただ、この衣装を着るモデルがまだ…」 「…こんなに丈が短くなっちゃったけど私、でもいいなら着るわ」とモデルは言うが 「あんたにその衣装を着る資格はもうないよ」と切り捨てた 私にはこの衣装を着て欲しい人が決まっていた 「先生、モデルになってくれますか?」 「…私が?」 「ちょっと、優何言ってんの。先生がモデルなんて無理に決まってんじゃん」 と由香は慌てるが先生は始終表情を変えずまっすぐ私を見ていた 「この衣装の存在を認めてくれた先生に着てもらいたいです」 そこには少しの時間が流れたと思う そして、 「分かりました。モデルとなってショーで衣装と一緒に歩きます。決して無駄にはしません」 ふわっと先生が笑い、頷いてくれた 「…ありがとうございます!」 先生がモデルになるなんて前代未聞な事だけど 冷静に作品の事を考え、最善を尽くしてくれた もう、この衣装には先生以外に着れる人はいない ドア付近ではアシストがあたふたしていたが、「メイク担当を部屋に呼んで」と指示し部屋から出る 開始1分前 「流す音楽、こっちに変えて」と自分の携帯を音楽アシストに渡す 「そんな無茶な!今から音楽を変えるなんて!」 「無茶でもやる。パソコンに入れる時間はないから携帯から流れるのをマイクで拾って!」と指示し、アシストの反論を聞く暇もないまま7人のモデルの元へ急ぐ こっちはさすがのプロでいつ出てもいいようにスタンバっていた 「お疲れ様です。少し順番替えます。2番、5番、1番、3番、7番、6番、4番の順番で。音楽もゆったり系になったので合わせてゆっくりめで歩いてください。最初は交差に2人で歩く設定でしたが、一人ずつ歩き終わったら次の番というふうにお願いします」 喋るのは早かったがモデル達は分かってくれたように頷く 理解が早くて助かる。…一人を除いて皆プロ意識が高いモデル達だ 順番を変える事によって先生の着る衣装がラストで一着だけ浮かないように 少しだけ溶け込み、でもどの衣装よりもひと際輝くように とその時、ステージの表舞台ですべての照明が同時に落とされた 「お待たせいたしましたー!」と司会の声が聞こえる 司会の挨拶が終わったら音楽が流れ、 いよいよ、始まる…
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